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相続した家が売れない原因は何か?空き家を早期に手放すための対策を解説

坂尾 由美

筆者 坂尾 由美

代表取締役

相続した家が売れないまま、固定資産税だけを払い続けている。
遠方に住んでいて管理も行き届かず、このままで本当に大丈夫なのかと不安を感じていませんか。
相続した家がなかなか売れない背景には、権利関係の問題や建物の老朽化、エリア需要の弱さなど、いくつもの原因が重なっていることがあります。
しかし、原因を一つずつ整理し、取れる選択肢を冷静に検討すれば、状況を前に進めることは十分に可能です。
この記事では、相続した家が売れない主な原因と、空き家を放置するリスク、そして現実的な対処法までを分かりやすく解説します。
相続や空き家の問題に悩んでいる方が、次の一歩を踏み出すための参考になれば幸いです。

相続した家が売れない主な原因を整理

相続した家がなかなか売れない背景には、まず権利関係の整理が済んでいない問題があります。
相続登記が未了のままで所有者が被相続人名義のままになっている場合や、複数人による共有名義で一部の相続人の同意が得られない場合には、売買契約自体を進めることが難しくなります。
また、遺産分割協議がまとまらず、誰がどの持分を取得するか確定していない状態も、買主にとって大きな不安材料となります。
このような権利関係の不明確さは、将来の紛争リスクと受け取られやすく、結果として購入希望者が見送ってしまう要因になります。

次に、立地や周辺需要などのエリア要因によって、相続した家が売れにくくなる場合があります。
最寄りの公共交通機関までの距離が長く、通勤や通学に不便な場所であったり、生活に必要な商業施設や医療機関が少ない地域では、居住ニーズが弱まりやすくなります。
総務省の住宅・土地統計調査では、空き家率が高い地域ほど人口減少や高齢化が進んでいる傾向が示されており、需要の弱さが取引の停滞につながる状況がうかがえます。
つまり、同じ建物の条件でも、需要が薄いエリアでは売却活動に時間がかかり、価格を調整しても買主が見つかりにくいことがあります。

さらに、建物や土地そのものの物理的・法的な問題が、売却の障害になることも少なくありません。
築年数が相当に古く、雨漏りや設備不良などの老朽化が進んでいる住宅は、購入後の修繕費用が多額になると懸念され、買主が慎重になります。
また、接道条件を満たさず再建築ができない土地や、現行の建築基準に適合しない増築部分がある違反建築物は、金融機関の融資が付きにくく、一般の実需層が購入しづらい物件となります。
このような物理的・法的リスクは、事前に把握して対策を検討しない限り、売却活動を長期化させる大きな要因となります。

原因の区分 主な具体例 売れにくくなる理由
権利関係の問題 相続登記未了・共有名義 所有者不明確で契約困難
エリア要因 交通不便・周辺需要の弱さ 購入希望者自体が少数
建物・土地の問題 老朽化・再建築不可等 修繕費負担と融資難

空き家を放置した場合のリスクと相続人の負担

相続した家を空き家のまま放置すると、まず固定資産税や都市計画税といった税負担が毎年発生し続けます。
住宅用地としての特例が適用されている場合でも、土地の評価額に対して固定資産税は原則年税率1.4%で課税されるため、長期的には無視できない金額になります。
さらに、老朽化が進めば屋根や外壁の補修、庭木や塀の手入れなどの維持管理費も必要となり、遠方から専門業者に依頼するほど費用はかさみがちです。
このように、使用していない家であっても、相続人は継続的な税負担と管理コストを負うことになります。

空家等対策の推進に関する特別措置法では、周囲に著しい悪影響を及ぼすおそれがある建物を市区町村が「特定空家」などに位置付け、所有者に対して指導や勧告、命令などの措置を行うことが定められています。
適切な管理を怠って勧告を受けた特定空家や管理不全空家の敷地では、住宅用地特例が解除され、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる仕組みです。
一般に住宅用地特例が適用される土地では、課税標準が小規模住宅用地で評価額の1/6、その他で1/3とされていますが、解除されると本来の評価額に基づいて課税され、税額が大きく増加するおそれがあります。
空き家を放置すると、単に建物が傷むだけでなく、税優遇の喪失という形でも相続人の負担が重くなる点に注意が必要です。

また、空き家は倒壊や建築部材の落下、屋根瓦の飛散などによる人身事故や隣家の損傷の原因になる可能性があります。
雑草の繁茂やごみの放置が進めば、害虫や小動物が発生しやすくなり、火の不始末や放火による火災リスクも高まります。
さらに、出入りが容易な老朽建物は不法侵入や不法投棄の温床となり、周辺の生活環境や景観、防犯面に深刻な影響を及ぼします。
こうした管理不全によって周囲に損害を与えた場合には、民法上の不法行為責任を問われ、損害賠償の対象となる可能性があるため、相続人は所有者としての管理責任を自覚し、早期の対策を講じることが重要です。

区分 主な内容 相続人への影響
税負担の増加 固定資産税・都市計画税の継続負担 長期的な支出増加
特定空家等の指定 指導・勧告・命令や住宅用地特例解除 固定資産税の急増リスク
周辺環境への悪影響 倒壊・火災・害虫・不法侵入など 損害賠償責任追及の可能性

相続した家が売れないときの事前整理と見直しポイント

まずは、相続登記の義務化について正しく理解し、名義を被相続人から相続人へ変更しておくことが重要です。
相続登記の申請は、遺言書の有無や相続人の範囲を確認したうえで、必要書類をそろえて法務局に申請します。
また、相続人が複数いる場合は、誰が売却手続きを進めるのか、売却代金をどのように分けるのかなどを、早い段階で話し合って合意しておくことが欠かせません。
こうした権利関係の整理ができていないと、購入希望者が現れても契約に進めず、結果として長期間売れない状態になりやすくなります。

次に、売却前の事前整理として、現況調査と境界確認を行うことが大切です。
建物の状態や設備の不具合、雨漏りやシロアリ被害の有無などを把握しておくと、購入希望者に対して説明しやすくなり、後々のトラブルも防ぎやすくなります。
土地については、隣地との境界標や筆界を確認し、過去に境界トラブルがなかったかどうかも併せて整理しておくと安心です。
あわせて、用途地域や建ぺい率・容積率などの建築制限を確認しておくことで、将来どのような建物が建てられる土地なのかが明確になり、購入検討者も判断しやすくなります。

さらに、売却価格の設定も、相続した家が売れないかどうかを左右する大きなポイントです。
周辺の成約事例や公的な統計資料などを参考にしないまま、高すぎる価格で売り出すと、相場とのギャップが生じて長期化しやすくなります。
一方で、安易に大幅な値下げを繰り返すと、かえって「何か問題がある物件なのではないか」と警戒される可能性もあります。
そのため、相場とのバランスを見ながら、一定期間ごとに問い合わせ状況や内覧数を確認し、必要に応じて価格や販売方法を見直していくことが大切です。

事前整理のポイント 具体的な確認内容 見直しの効果
権利関係の整理 相続登記完了・共有者合意 契約手続きの円滑化
物件状況の把握 建物劣化・境界状況確認 トラブル予防と安心感
価格設定の見直し 周辺相場・需要動向把握 売却期間の短縮期待

相続・空き家が売れず困っている方の現実的な選択肢

相続した家がなかなか売れない場合でも、処分方法は売却だけではないことを押さえておくことが大切です。
賃貸として活用する方法や、管理を専門業者に委託して当面は保有を続ける方法、老朽化が進んでいる場合には解体して更地として活用する方法など、複数の方向性があります。
それぞれ、初期費用やランニングコスト、将来の自由度が異なりますので、相続人の資金状況や家族のライフプランも踏まえて比較検討することが重要です。
まずは「今すぐ売るかどうか」だけで考えず、管理と活用、手放す制度の利用といった選択肢を整理してみることが有効です。

相続した土地を手放すための公的制度として、法務省が所管する「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月に開始されています。
相続等により土地の所有権や共有持分を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、法務大臣の承認を受けて土地を国に引き取ってもらう仕組みです。
建物が残っている土地や、担保権が設定されている土地、境界が不明な土地などは申請できないとされており、利用できる土地が限定される点には注意が必要です。
また、申請時には土地1筆当たりの審査手数料に加え、管理に要する10年分の標準的な費用を考慮して算定される負担金の納付が必要になるため、費用面も含めて検討することが大切です。

相続した家が遠方にあり、相続人が現地に頻繁に行けない場合には、早い段階から情報収集と相談窓口の活用を進めることが重要です。
国土交通省は、空き家の適切な管理方法や注意点をまとめた情報を公表しており、自分での点検や補修が難しい場合には、空き家管理業者などの活用も検討するよう案内しています。
また、相続土地国庫帰属制度については、全国の法務局・地方法務局本局で相談を受け付けており、遠方に住んでいる場合でも、まずは最寄りの法務局で制度の利用可能性について確認することができます。
売却や賃貸、管理委託、公的制度の利用といった道筋を早めに整理しておけば、老朽化や近隣トラブルが深刻化する前に、現実的な対処を選びやすくなります。

選択肢 主なメリット 主な注意点
賃貸として活用 家賃収入の確保 空室リスクと管理負担
管理委託で保有 日常管理の手間軽減 委託費用の継続負担
解体して更地活用 老朽化リスクの解消 解体費用と税負担変化
国庫帰属制度の利用 将来の管理負担の軽減 利用要件と費用負担

まとめ

相続した家が売れない背景には、権利関係の複雑さ、エリア要因、建物や土地の問題など、複数の原因が重なっていることが多いです。
また、空き家を放置すると、固定資産税や管理費だけでなく、「特定空家」として行政から指導を受けるリスクや、倒壊等による賠償リスクも無視できません。
早めに相続登記や現況調査、価格の見直しを行い、売却だけでなく賃貸や管理委託、公的制度の活用など、現実的な選択肢を比較することが重要です。
当社では、相続・空き家のお悩みを整理し、お客様の状況に合わせた解決策を丁寧にご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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